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2011年 09月 09日
北アルプス常念山脈縦走記 その14
身長は 174cmあるのに体重はわずか 55kgの貧相な体つき。
おまけに過敏性腸症候群気味で年中胃腸の調子がぱっとしないという、虚弱体質の中年男が北アルプスの山に挑むというお話。

常念小屋で一泊した我々は、いよいよ 2日目の常念山脈縦走に向かうのであった。



● 2日目の朝

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山での楽しみの一つに「ご来光を拝む」というのがある。
4時半頃に起き上がった私はご来光求めて早速外に出てみた。

しかし残念ながら雲が多く、あまりぱっとした天候ではなかった。

それでも5時3分頃になって雲の彼方から太陽が顔を出した。これでも立派なご来光である。

だけどあまり感動できなかった。
思えば私も富士山で 3度、御嶽山で 1度、ご来光を拝んでいる。もう悪い意味での免疫ができてしまったのかもしれない。

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一方ご来光とは反対側の槍ヶ岳・穂高連峰の方はどうかというと、ご覧のとおりまた雲がかかっていた。
まだ私は一度も北アルプスのランドマーク、槍ヶ岳をこの目で見たことがない・・・。

ところで常念小屋からここまで、少し登っただけなのにもう息が切れていた。

残念ながら私は枕が変わると眠れないタイプ。だからY氏(わいし)を初めとするおじさんたちのイビキを一手に引き受けてしまい、ほとんど眠れなかった。
このあたり、あまり私は山向きには作られていないようで困る。

というわけで、きのうバテたY氏のためだけでなく、自分のためにも思い切って常念岳はパスした方がよさそうだ・・・。

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5時半、朝食が始まる。

例によってご飯・みそ汁はセルフでおかわり自由。
ご覧のようにちょっとおかずは地味だったけれども、いやあ、今朝もご飯がうまい!本当にうまい!またちょっとみそ汁がぬるいのが不満だっただけだ。

5時半から食欲があるなんて、普段じゃ考えられない。
やはり胃腸は山にいるときの方がずっといい。

しかも食後に便意を催したんでトイレで踏ん張ってみたら、見事な便が出た。実は私は旅の最中はわりと便秘になりがちなのだ(過敏性腸症候群っていうのは下痢になったり便秘になったり、いろいろ大変なのです)。
よし、これで今日は多少は体が軽くなるかもしれない。よかったね。

● スタートを切る

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6時32分、スタートを切る。

今までは 1泊2日の山行しかしたことがない。1泊2日だと「行く日」と「帰る日」で終わってしまう。

しかし今回は違う。2泊3日の山行だ。「行く日」と「帰る日」の真ん中に「縦走する日」が入る。
というわけで今日は常念山脈を、常念小屋の方から大天井岳(おてんしょうだけ)→燕岳(つばくろだけ)と縦走する。

上の写真は、山小屋から 20分ほど歩いたあとに後ろを振り返ったときのもの。
下に一晩お世話になった山小屋が、正面に常念山脈の主峰常念岳がどんと写っている。

常念岳は日本百名山の一つに数えられる名峰だ。その麓まで来ておいて登らないなんてアホだ・・・と北アルプス通の人に怒られそうだ。
しかし結果的にはこの選択は正しかったのである。

● 2日目の計画

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ヤマケイJOY 2010夏 付属地図より

もう一度地図を載せておこう。

一番下にある常念小屋から横通岳、東天井岳を経て大天井岳(おてんしょうだけ)に進み、山小屋大天荘で昼食を取る。
それからまた北上を続け、燕岳の手前にある燕山荘(えんざんそう)に宿泊するというのが 2日目の計画だ。

常念岳をカットしたことで、本日の予定はこうなった。

     常念小屋(6:30)→40分→横通岳→1時間10分→東天井岳→1時間10分→
     →大天井岳(昼食+登頂で1時間)→1時間20分→大下りの頭→1時間5分→燕山荘(12:55)


コースタイムは 5時間25分で、それに昼食時間+大天井岳での大休憩 1時間を加えても燕山荘到着予定時間は 12時55分。
これならきのうと違ってかなりの余裕がある。せいぜい途中で花の撮影などに時間を割こう。

● 縦走開始

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というわけで 2日目の縦走を開始する。

ご来光を拝むために少し歩いただけで息切れを感じてしまった私は、慎重にスタートを切った。
行動開始から 1時間ほどはスローペースで・・・というのが山の基本だ。

時折吹き飛ばされそうになるくらいの強風が吹く。
そもそも下に見えている常念乗越(じょうねんのっこし)のあたりは風の通り道として有名らしい。

なるほど。その強い風で、安曇野(あずみの)の方角から立ち上ってきたガスが押し戻されていた。こんな映像 NHK の「日本の名峰」で見たことがある。

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張り切って縦走を開始した我々だったが、1時間ほど歩いたところで道を見失いかけた。
ちゃんと踏み跡を確認しながら歩いていたら、ある小山の頂上に着いてしまった。ところがその先は断崖絶壁で道がない。

山頂で冷静になって眺めたら、左下の方に見えた山に登山道が敷かれていた。
分かりますか?上の写真でいうと、右手前のやや黄色っぽい山に、斜めに登山道が走っていますよね。それです。

どうやら登らなくてもいい山(巻けばよかった山)に登ってしまったようだ。
危ない、危ない・・・。
ちゃんと踏み跡を確認しながら歩いていてもこういうことがある。結局同じように間違って登ってしまった人が何人もいるってことだ。

実はこのあたりのコースでは、日本のマッターホルン、槍ヶ岳に向かう表銀座と呼ばれるコースが一番有名だ。それに比べると我々が今歩いている常念山脈のコースはややマイナーで登山者の数もそれほど多くはない。
このときもたまたま誰も歩いていなかったのだ。危ないところだった。

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こんな岩だらけの場所に、「高山植物の女王」と呼ばれるコマクサがポツポツと咲いていた。

コマクサは5~15cmほどの小さな植物だが、実は地中深く 1m以上もの根を張り巡らせている。そうすることによって地中の乏しい水分を吸収しているのだろう。

本当に他の植物が何も生えてない場所に、こいつだけが健気(けなげ)にも咲いている。その生命力に驚くばかりだ。

さて、コマクサに負けてはいられない。先を急ぐか・・・。

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by JunMorosawA | 2011-09-09 07:51 | 低山歩き | Comments(0)


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