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2010年 10月 10日
木曽の御嶽山登山記 その20
富士山以外高い山に登ったことのない私が、この夏単独で 3000m 級の山である木曽の御嶽山(おんたけさん)に挑戦。

初日に無事剣ヶ峰登頂を果たし、2日目は神秘的な三ノ池などの池巡りを行い、横手道より下山。女人堂が目の前に迫っていた



● 女人堂から下山開始

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9時58分、遂に8合目の女人堂まで戻ってきた。
あとは往路と同じ。だからある意味今回の山行(さんこう)の終着点といってもいい。

朝からもう4時間も歩き続けているというのに、疲労はほとんど感じていなかった。腰も何も問題もなかった。
あえていえば、薄っすらとした嘔吐感が続いているぐらいだが、これは高山病による症状で、まあしょうがないだろう。

まったく自分の体調が自分でよく分からない。普段よりもずっといいような気がするのだから・・・。

それにしても横手道は面白い道だった。山頂部の池巡りと先ほどの横手道歩きが御嶽山の印象をとてもいいものにしていた。
満足だな・・・。

さて、じつはここで25分間の食事タイムを取ってあった。
しかし10時では流石にまだお腹が空かない。そんなわけでただ休んでいた。

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水分を補給しながら御嶽山を見上げてみてびっくり。こんな感じで御嶽山はガスの中。ほとんど何も見えなかった。
今回本当に運がよかったんだなあ・・・。

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女人堂からロープウェイの駅に向かって下山を開始する。
流石はメインの登山道(参道)だけのことはある。思えば横手道では誰ともすれ違わなかったのに、次々に登ってくる人と出会う。

10時20分にすれ違った若い女性2人は、「ああもう限界」などと口走っていた。8合目の手前であれじゃあ、山頂はしんどいかもしれない。

次にすれ違ったハイカーには「こんにちは。行ってらっしゃ~い」という声をかけた。向こうも気持ちよく、「行ってきま~す」と返してくれた。

「俺は山頂を極めたんだ」という自信と、「あとはゴールを目指すだけ」という余裕からだろう。私の口は軽かった。

10時半には屈強そうな2人とすれ違う。

「上はどうですか?」

「朝は晴れてましたけれど、今はガスっちゃっていますねえ」

すると片方がこう言った。

「やっぱり朝方が勝負か・・・」

そういえばさっきからずっとガスに覆われている。せっかく登っても彼らは絶景に接することができないかもしれない。ちょっとかわいそうだな・・・。

そんなふうに思ったのも心のゆとりからだろうか・・・。

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そろそろ見上げるような大木が増えてきた。すっかり森林限界を下回った証拠だ。

そしてまたゴールが近いことをも示していた・・・。

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11時5分、ロープウェイ飯森高原駅に到着。
これで2日間に渡る山歩きもおしまいだ。

単独登山というのは何処かに不安が付きまとうもの。
そこを何とか無事歩き切ったなあ・・・。

まずは自分の脚に感謝したい。どうやら日頃源氏山までウォーキングしている効果はあったようだ。
それと無事成し遂げた自分を少しは褒めてやるか・・・。

さて、バスがロープウェイの下の駅である鹿ノ瀬駅から出発するのは11時55分だから、まだかなり余裕がある。

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そこでロープウェイの駅の屋上に行ってみたら、何と足湯があった。
写真のおばあさんに誘われるように私も足を湯に浸けてみた。

ちょっとぬるめだけれど、なかなか気持ちよかった。疲れた体と足にとっては最高だ。

おばあさんは話し好きらしく、いろいろ私に語りかけてくる。
特におばあさんの自慢は、あのゴルフの石川遼と同じ町に住んでいるということにあるようで、しきりに自慢していたっけ。

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そのうちにおばあさんが、「御嶽山が見えてきたわよ」と言い出す。

御嶽山に背を向けて足湯に浸かっていた私も振り返ってみた。すると確かに、厚い雲が一部切れて、御嶽山の山頂の方が顔を覗かせていた。

あらためて見てみると、本当に御嶽山って横に(南北に)長い山だ。
今回は縁がなかったが、剣ヶ峰の西にある継母(ままはは)岳(2867m)、剣ヶ峰(3067m)、摩利支天(まりしてん)山(2959m)、継子(ままこ)岳(2859m)と4つの峰を持っているためだ。

さっき登っていった連中、これで少しは展望が得られているだろうか。

何故か、「やっぱり朝方が勝負か」と言っていた屈強そうな2人のことが気になっていた。
今この瞬間、展望を楽しめているかい?

● 下界へ

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ロープウェイで鹿ノ瀬駅まで下りると、ご覧の木曽福島駅に向かうバスがすでに停まっていたんで早速乗り込んだ。

11時56分、バスが出発する。乗客の数はざっと10名ほど。

バスは下界目指してひたすら山を下っていく。日光のいろは坂のように幾重にも曲がりくねった道をひたすら下りていったはずだ。

小学生のときの私なら確実にゲロを吐いていたことだろう。そのくらい子供のときは乗り物酔いがひどかった。特にバスがダメだった。

ところがこのときの私はというと、まだ薄っすらと高山病の症状が残っていたはずなのに、バスに乗っていることが心地よくてたまらなかった。
この年になってバスに強くなるなんてことがあるんだなあ・・・。

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12時35分頃にほぼ山を下り切る。

この頃から、日差しがまた戻ってきていた。
それは御嶽山山頂で浴びていた日差しではなく、俗世間のそれだった・・・。

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12時57分、JR木曽福島駅に到着。

外に出たらびっくりするほど暑かった。
きっと下界ではきのうも今日も相当な猛暑だったのだろう。

こうして私の今回の旅も終わろうとしていた。

思えば体調(胃腸)の悪さから、直前まで敢行が危ぶまれていたのに、終わってみると信じられないくらい元気な私がいた。
箱根あたりでも、例えば帰りのバスの中ではぐたっとしていることが多いのに、本当に不思議だ。

まったく私の体調っていったいどうなっているんだろう。
それだけ下界が苦手ってことなのか・・・。

おっと。まだ私の旅は終わっていなかったっけ。
これからその苦手な長い長い「下界の旅」が始まるのだから・・・。


--- THE END ---


by JunMorosawA | 2010-10-10 21:39 | 低山歩き | Comments(2)
Commented by 一坪庵 at 2010-10-11 08:12 x
JUNさんおはようございます。
御嶽山山行記、全巻読みきりいたしました。すばらしい山行きでしたね・・・感動しました、
それにしても3000mの頂上で、湖をはじめいろんな景色を楽しめる御嶽山はすごい山ですね、
昔からたくさんの人々に愛されるのは信仰もありますが、この辺の山の魅力もあるのかなと思われます。
写真も紀行記文章も素晴らしく、毎日次章掲載が待ち遠しかったです。
JUNさんは体力すごいです、自信を持ってください。胃腸はメンタルに直結します。
ノープレブラムで全然OKになりますです(笑い)
Commented by JunMorosawA at 2010-10-11 17:37
一坪庵さん、こんにちは。

> 御嶽山山行記、全巻読みきりいたしました。
> すばらしい山行きでしたね・・・感動しました、

そこまで言っていただけると、とても嬉しいです。書いたカイがあります。

> それにしても3000mの頂上で、
> 湖をはじめいろんな景色を楽しめる御嶽山はすごい山ですね、

富士山以外、高い山を知りませんでしたからね。本当に素晴らしい山でした。
またこれで来年の楽しみができました。
来年はできたら数日歩きたいという夢を持っています。

> JUNさんは体力すごいです、自信を持ってください。

そうなんだろうか。自分でもよく分かりません。
普段、くたあっとしているから(苦笑)。

> 胃腸はメンタルに直結します。
> ノープレブラムで全然OKになりますです(笑い)

これは案外真理かもしれませんね。
気の弱い人間ですから(苦笑)。


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