宿泊予定の山小屋、赤岩八合館目指して御殿場口登山道を目指した私だが、フェンスに行く手を遮られてしまう。
他に歩いている人はいないし、段々不安に襲われてきた私だった・・・。
● 御殿場口登山道にて
御殿場口下山道をまたいで御殿場口登山道に向かおうとしたら、ご覧のフェンスに行く手を遮られてしまった。
フェンス=立ち入り禁止のイメージがある。本当にこの道でいいのだろうかと不安になった。
しかし後にネットで調べたところ、これは以前、富士山測候所の人が冬季に登頂、下山するために使っていた手すりなんだそうだ。
今でも夜間だと間違ってこれに沿って登ってしまう人がいるらしいから注意が必要だ。
フェンスを越えると、今回のルートでは珍しい岩稜(がんりょう)帯になる。岩稜帯は歩きにくいのだけれど、この変化はむしろ楽しかった。
ところで下の方に白っぽい建物があるのが見えるだろうか。あれこそが御殿場口登山道にある「環境省避難小屋」のようだ。
どうやら道は間違っていないらしい。
3時35分、やっと御殿場口の登山道と合流することができた。
ちなみにカシオの高度計機能付きの腕時計PRO TREKはこの地点を2795mと表示していた。
PRO TREKは多少低く表示することが多いから、すでに2800mは超えていたはずだ。3000m突破まであと少しだな。
ここで休憩しよう。
富士宮口新5合目から歩き始めてすでに2時間15分。それも厳しい登りばかり。
もちろん疲れてはいた。だけど病的な、嫌な疲労の仕方ではなかった。その証拠に手帳にも「きっと体調はいいんだろうと思う」とこのとき私は書いている。
ちょっとガスが晴れてきて、日差しが出てきた。久しぶりの日差しは嬉しい。
後ろを振り返ると、右手にはっきりと宝永山が見えた。
その先には雲海。
すごいな。やっぱり富士山ってすごい。
目の前のロープにスズメよりも少し大きいぐらいの野鳥が現れた。それも案外私を怖がらない。
森林限界をとっくに超えてしまったこんな場所で、いったいこいつら何を食べて生きているのだろう・・・。
後にこの鳥の正体がイワヒバリであることが分かった。ヒバリだったのか。
イワヒバリはスズメ目イワヒバリ科の鳥で全長は18cm前後。高山帯の夏鳥として、ハイマツ帯より上部の岩石地帯に生息し、食性は雑食で、夏季は昆虫類を冬季は木や草の種子、実を食べるということだ。
昆虫類かあ。そんなもの、いるんだろうか、ここに・・・。
水分と共にチーカマを食べながら、富士山の大自然や、そんな野鳥たちを眺める。
きっと俺、満足なんだろうな・・・
と私はこのとき手帳に書いている。
ひょっとしたらこの瞬間って、今回の旅の中では、ご来光に匹敵するぐらいの重みがあったんじゃないかと今思っている・・・。
(つづく・・・)