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2011年 08月 29日
北アルプス常念山脈縦走記 その3
身長は 174cmあるのに体重はわずか 55kgの貧相な体つき。
おまけに過敏性腸症候群気味で年中胃腸の調子がぱっとしないという、虚弱体質の中年男が遂に北アルプスの山に挑む決心をする。

順調に計画を立てていったものの、実は大きな問題点があった・・・。



● Y氏が問題だった

さて、7月半ばぐらいからかなり具体的に計画を練り始めた私だったが、今年の登山、いつもの年と大きく違っていたことがあった。

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それは、今年の春に箱根の明神ヶ岳に一緒に登った従兄弟(いとこ)のY氏(わいし)が同行することだ。

実は去年までの富士登山や木曽の御嶽山登山は全て単独で出かけていた。
何度かY氏と共に行く計画も立てたのだが、典型的なサラリーマンである彼と、自営業者である私とでは、なかなか休みがうまく合わなかったのだ。

ところがこの春Y氏は長年勤めていた会社をあっさりと辞めてしまった。というわけで現在就職活動中で、今年の夏はフリーだった。

しかしY氏にはいくつかの問題点があった。
まず彼は私と違って 3000m級の山を一度も経験してない。せいぜい私と一緒に高尾山や明神ヶ岳程度の低山を日帰り登山で登っただけだ。

本当に奴に北アルプスなんて歩けるのか・・・私が不安に思うのも当然だ。

北アルプス常念山脈縦走記 その3_c0196928_14462220.jpg

まだ他にも問題点があった。彼は登山に必要な「三種の神器(さんしゅのじんぎ)」を何一つまともに備えていない。

三種の神器とは、登山靴・ザック(リュックサック)・レインウェアのことだ。
他のものはともかく、最低この 3つだけは「ちゃんとしたもの」を揃えなければいけない・・・とされている。

例えば登山靴は、普通の運動靴などではなく、底が厚くて堅くてしっかりとしていて、足首を覆うハイカットタイプで、なおかつ雨の日でも快適に歩けるように防水・透湿素材が使われていなければならない。

もちろん彼はそんな登山靴など持ってない。そこでとりあえず写真の私のお古を回すことにした。
しかし私の足のサイズが 26cmであるのに対し、彼は 26.5cmだった。わずかに大きい。

それなのにこの登山靴のサイズは 26.5cmジャスト。普通登山靴は一回り大き目の靴を選んで厚手の靴下を履くのが常識なのだから、ちょっときつきつ過ぎる。

実際低山を歩かせた結果、「少し小指の側面が靴に当たる」と言っていた。どうやら彼の足はやや幅広のようだ。

不安を感じた私は、「登山靴だけは買った方がいいんじゃないかなあ」とアドバイスしたのだが、日常まるで使い物にならない靴を買う気はなさそうだった。
まあ無理もないかもしれない。彼は私と違って普段山など登らないのだから・・・。

北アルプス常念山脈縦走記 その3_c0196928_14464133.jpg

更にザックに関しては、そこらのスーパーで買った安物だった。

いいザックは重さがちゃんと肩だけでなく腰にも分散される。一方いい加減なザックだと肩にだけ重さがのしかかってしまって、長時間歩くほどしんどくなってくる。

上の写真は実は本番のときのものなのだが、モロ肩で背負ってしまっていて、重心が後ろに引っ張られているのがこの写真からも分かるのではないだろうか。
はたしてこんなザックで北アルプスを乗り切れるのだろうか・・・。

そしてレインウェアも、本来最低でも1万円以上(できれば2万以上)はする防水・透湿素材のものを用意しなければいけないのに、彼のものは、やはりスーパーで買った安物だった。

つまり三種の神器が全てまともに揃ってないのだ。

そもそもY氏(わいし)は、山歩きそのものが好きな私と違って、そんなに山好きな人間とは言い難い。
山が好きだからこそつらい登りに耐えられる。山が好きだからこそ長い縦走に耐えられる(っていうか、長い縦走を楽しめる)。

はたして「そんなに山好きな人間とは言い難い」Y氏が北アルプスを乗り切れるのだろうか・・・。

Y氏が同行してくれることで、私がいつもの孤独から解放されるのは確かだった。
しかしY氏が同行してくれることが私の不安材料になっているのもまた、確かだった・・・。

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by JunMorosawA | 2011-08-29 14:47 | 低山歩き | Comments(0)


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