人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2010年 12月 19日
水草水槽で、どうしても克服できないこと 後編
さて、秋の夜長・・・じゃない、冬の夜長のアクアリウムの長話の続きを。

水草水槽をやるようになった私にとって、最大の敵がコケだった。この17年間(といっても、本当に熱中してたのはそのう5年間ぐらいだけれども)、いつも悩まされていて、「もう俺には防げないんじゃないか」とあきらめかけていた。

それがどうやら何とかなりそうな気が、最近してきた。
その秘密は何かと言うと・・・。




何故コケを封じ込めるようになったか。実はとても単純なことだった。

皆さん、植物が生長するときに必要な肥料の三大要素って覚えてますか?「窒素(ちっそ)、リン酸、カリ(カリウム)」です。小学生か中学生の頃に習いましたよね。

ここで大事なことは、「リービッヒの最少律」という法則によると、窒素、リン酸、カリなどの各要素がそれぞれ一定でないと他の要素が利用できなくなるということ。
つまり、一つだけ少なかったり多かったりすると、せっかく他が適量でも意味がなくなってしまうのだ。

で、3つのうち窒素とリン酸は魚のフンやらエサの食べ残しやらで水槽内で勝手に増えていく。
つまり水槽内は普通こんな感じになっている。

       窒 素   ★★★★★
       リン酸   ★★★★★
       カリウム  ★★

つまり窒素とリン酸は適量あってカリウムが不足している状態だ。
これでは「リービッヒの最少律」によると・・・、

       窒 素   ★★
       リン酸   ★★
       カリウム  ★★

ってことになって、水草側にとっては、窒素もリン酸も★★分しか利用できなくなる。
で、余った★★★がコケに回る・・・。

それを防ぐにはカリウムを★★★分入れればいい。
というわけで水草専用肥料というのは窒素・リン酸は入ってなくて、カリウム中心になっている(あと鉄分やマンガン、ホウ素などの微量元素も入っている)。

ところがである。現時点で実際にコケが生えている水槽に肥料を入れるというのはとても勇気がいる。
っていうか、むしろ「肥料の入れ過ぎでコケが生えているんだ。肥料は控えなくちゃ」と考えてしまうのが普通だ。

事実当時のアクア雑誌には、あまり肥料を入れすぎるとコケるから少なめに・・・と書いてあったはずだ。

で、肥料を控えてしまうと・・・、

       窒 素   ★★★★★
       リン酸   ★★★★★
       カリウム  ★

になってしまって、ますますカリウム分が不足し、今度は★★★★がコケに回ることになる・・・。

昔の私はこの失敗をしていたのだ。だからいつもコケまみれの水槽を作っていた・・・。

水草水槽で、どうしても克服できないこと 後編_c0196928_2044161.jpg

さて、今年の2月頃の写真をもう一度見てほしい。
この当時は「どんな水草を植えても必ずその水草が矮小化(わいしょうか)してしまう」水槽だったと前回書いた。

実はこの水槽には魚がほとんど入ってなかった(上の写真からもそれが分かりますね)。魚がいてエサを与えるからこそ窒素とリン酸が増える。
つまり魚がほとんどゼロだったこの水槽はこうなっていたのだ。

       窒 素   ★
       リン酸   ★
       カリウム  ★

全ての栄養素が少ない。だから水草が元気に育たない。一方余剰になっている分もないからコケにも回らない。だからコケも生えない・・・という状況になっていたのだ。

で、園芸用の肥料を中心に添加を始めた私。
しかし園芸用の肥料というのは水槽内に持ち込むには強烈だ。その結果こうなってしまった。

       窒 素   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
       リン酸   ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
       カリウム  ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

今度はすべてが余剰になってしまった。その結果「水草も育つがコケも猛烈に育つ」という状態になってしまった・・・。

結局コケを生やさせずに水草だけを綺麗に繁茂させたいと思ったら、

       窒 素   ★★★★★
       リン酸   ★★★★★
       カリウム  ★★★★★

にすればいいわけですね(もちろん「★★★★★」っていうのはその水槽の水草の量だ)。

こんな単純なことに、アクアリウム歴17年目にして、やっと気づいた私なのだ。

いや、当時だって「リービッヒの最少律」のことは用語としては知っていた。知っていたのに、「光が強すぎるんじゃないか」とか「水流が強すぎるんじゃないか」とか他のことばかりを気にして、どうやら一番基本的な肥料の三大要素のバランスに目が行かなかったらしい。

じゃあどうやって具体的に窒素・リン酸・カリのバランスをうまく保つのかというと、じつは今試行錯誤中です(うまく行ったり行かなかったり・・・)。

水草水槽で、どうしても克服できないこと 後編_c0196928_20443744.jpg

前回も紹介したこの「すべての水草がすくすくと成長している水槽」にしたって、「たまたま」という可能性もあるからだ。

それでも、17年間悩んでいたことが判明しそうなんで、今とても嬉しく思っている私です。

また何か分かったらご報告します。では。

by JunMorosawA | 2010-12-19 20:45 | アクアリウム | Comments(2)
Commented by ASAHI at 2011-08-25 00:32 x
勉強になります。肥料の事、参考にさせてもらいす。
これから60cmLOWタイプの水槽で水草はじめるべく準備中です。
Commented by JunMorosawA at 2011-08-27 18:40
ASAHIさん、こんにちは!

施肥に関しては、是非こちらの方をどうぞ。

Kamakura AQUA
http://kamaaqua.exblog.jp/

「コケと施肥について」あたりにより詳しく書いています。


<< 冬至      水草水槽で、どうしても克服でき... >>