2010年 10月 13日
大野山で出合った花たち
みなさん、何だか「お久しぶり」って感じです。
「木曽の御嶽山登山記」を20回に渡って連載(?)しました。続けて見てくださった方、ありがとうございました。

そしてその間に随分季節が過ぎ去ってしまいました。

萩や彼岸花の時期もすっかり終わり、もう10月も半ば近いですからねえ・・・。

でもちょっと時計を巻き戻して、9月の21日に丹沢は大野山に行ったときのお話をお届けしたいと思います。

まだまだとても暑かったときのお話です・・・。




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9月21日の朝8時半頃、ご覧のJR御殿場線の山北駅に私は降り立った。

じつは御嶽山登山のあと、私はしばらく山から遠ざかっていた。
あまりにも木曽の御嶽山登山が強烈だったため、そこらの山に行く気をなくしていたのだ(そして映画ばかり観ていた)。

御嶽山登山から丸1ヶ月が経ち、やっと御嶽山の呪縛から開放されてきていた。
そろそろ山に登らないと体が腐ってしまう。

そこで2つの候補を考えた。
1つは埼玉県は飯能駅の先の方にある奥武蔵の棒ノ折山、もう1つは丹沢の大野山だ。

棒ノ折山は場所も遠いとこともあって、ちょっとガッツを出して登らなければならない山で、大野山は近場の低山だった。

結局私は「近場の低山」の大野山を選んだ。
じっくりと時間をかけて野の花の撮影をしてみようと思ったのだ(御嶽山ではそれができなかったから、という反省もある)。

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駅から離れ、鍛冶屋敷やら古宿(ふるやど)やらの集落を経由して山に近づいていく。

これが案外つらい。
山歩きは楽しくても、こういう登り一辺倒の舗装路歩きはつらいものだ。

ましてこの日は、9月も下旬が近づいてきているとは思えないほど暑かったのだ・・・。

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この大野山山頂直前の階段がまたつらかった!

富士山や木曽の御嶽山などの3000m級の山を経験している私にとって、わずか標高723mの大野山なんて低山もいいところだ。

でも山の高さとつらさはまったく正比例しなかったりする・・・。

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山北駅から2時間半ほどでやっと大野山の山頂に到着。
大野山の山頂からは丹沢の山々や富士山が一望できる。だけどこの日は残念ながら霞んでしまっていてほとんど中国の山水画のようにしか見えなかった。

まあそれはともかく、疲れた!富士山よりも御嶽山よりも疲れた!汗も尋常じゃないくらいかいていた。
こんなにしんどく感じたのは久しぶりだ。

時々ふと思うことなのだけれど、むしろ高い山ほど楽に登れる気がするのは、いったいどうしてなのだろう・・・。

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大野山山頂付近は「大野山乳牛育成牧場」という名の牧場になっている。
だからご覧のように山頂周辺には牧草地帯が広がっている。この開放感は素晴らしい!

本当は山頂に人工臭さがあると興醒めになるものだが、これはこれでいいものだなと思った。
これでもうちょっと秋らしい風でも吹いていたら文句なかっただろう。

さて、主にこの牧場内で見つけた野の花を真剣に写してみるか。
私のいう「真剣に」というのは、「ちゃんと一眼レフカメラを三脚に固定して、ちゃんとマクロレンズにすげ替えて写す」という意味だ。

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まず明るい牧草地帯で一番目立っていたのがこれ。

フウロソウ科の多年草で、ゲンノショウコ(現証拠)という。

胃潰瘍や十二指腸潰瘍・下痢止めなどの薬効があるため、古くから民間薬として使われてきた。
よくきくので「現の証拠」と称するらしい(なんだか分かったような、分からないようなだけれども)。

ちなみに花の色は紅色、白色があり、紅色は西日本に、白色は東日本に多いとされていて、実際私が山の中で出合ったのはこの白花ばかりだった。

比較的どこにでも咲いている野の花のため、このゲンノショウコに出合うと「ああ、秋になったんだなあ」と私は感じます。

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下山路でよく目立っていたのがこれだ。

じつはこの花は鎌倉にも結構いたるところに咲いています。ただ何しろ花が小さくて地味であまり目立たない。

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花の正体は、キク科の一年草ハキダメギク(掃溜菊)だ。

身も蓋(ふた)もないようなハキダメギクという名前の由来は、窒素分の多いゴミ捨て場や畑の脇などの肥沃な環境を好むことによるという。

白く小さな舌状花(ぜつじょうか)が5個まばらについていて、しかも1つの花びらが3つに分かれている。雑草とバカにせずにぜひ近寄って観察してみてほしい。

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こちらはツリフネソウ(釣舟草)。花柄(かへい)に釣り下がる花の姿を船にたとえたものだ。

図鑑によると、谷沿いなどの半日陰の湿った場所に生育すると書いてあるが、なるほど日差しの強い場所には絶対に咲いてない。
こうやって植物たちは自分達の生息場所を選ぶんですねえ・・・。

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この日一番嬉しかったのはこの野の花との出合いだった。つる性植物であることは分かりますね?

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キキョウ科のつる性多年草でツルニンジン(蔓人参)という。
根が太くチョウセンニンジンに似ていて、ツルになることから「蔓人参」と名づけられたらしい。

実はもう一つ、こいつにはジイソブ(爺蕎)という面白い別名がある。

「ソブ」っていうのは長野県の方言で、そばかすの意味だとか。
つまりジイソブとは「じいさんのそばかす」ということだ。つりがね形の花の内側にある紫褐色の斑点をお爺さんのそばかすに例えたということらしい。
ちなみにバアソブっていうのもあります。

この花は2007年10月9日に箱根の明神ヶ岳稜線で出合って以来だったから、嬉しかったなあ・・・。

ちなみに一緒に絡んでいるのは、これまた秋の代表的な野の花、タデ科のミズヒキですよ。

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JR谷峨駅に向けて下山を開始。しばらくは展望のいい道が続く。

きっとこのコース、すごくいいコースなのだろう。もうちょっと涼しくて、もうちょっと空気が澄んでいて、もうちょっと私の体調がよかったら、もっと印象が変わっていたに違いない。

この日は、正直いってちょっと、いや思いっきりバテた。
だけど家に戻ってきたあとに飲んだビールはたまらなくおいしかった。

これからが秋の一番いい季節。また出かけてみたいと思う。

by JunMorosawA | 2010-10-13 08:47 | 山歩き&花 | Comments(0)


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