2010年 09月 14日
木曽の御嶽山登山記 その7
富士山以外高い山に登ったことのない私が、この夏単独で 3000m 級の山である木曽の御嶽山(おんたけさん)に登ることを決意。

地元北鎌倉から6時間24分かけて遂に登山口の御岳(おんたけ)ロープウェイ飯森高原駅に立ち、今登山が始まろうとしていた。

ただ登山計画にやや無理があるのと、高度順応することなしに登り始めてしまうことに一抹の不安を覚えていたのだった・・・。



● 遂に御嶽山登山が始まる

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というわけで12時12分、7合目にある行場旅館に向けて歩き始める。
わずか10分ほどの行程だし、まだここは「登る」というより「横に進む」だけの水平道(というらしい)なので楽だ。

樹木の種類が分からないのが残念なところだけれど、まだ森林限界前だから背の高い樹木がたっぷりとある。

ずっと電車とバスに揺られていたせいか、そんな樹木に囲まれた道を歩くのがとても気持ちよかった。そして空気がたまらなくおいしく感じられた。

また小鳥のさえずりが耳に心地よかった。やっぱり山っていい。

ただ天気だけは完全に曇天状態。元々この日の予報は「晴れ時々雨」という大胆なもの。
あまり天候には恵まれないかもしれない・・・。

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12時19分、中の湯からの旧登山道と合流。そこを右に折れると突然、今にも倒れてしまいそうな古い木造の建物が現れる。

7合目の一ノ又行場旅館だ。

だけど旅館という名前は付いているものの、とても営業しているようには思えない。
本当にここに宿泊できるのだろうか・・・。

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それでも中を見てみると数人の観光客の姿があった。じつはここの「ちから餅(500円)」は名物になっているのだ。

しかし8合目の女人堂で食事をする予定にしていた私としては、今そんなものを食べてしまうわけにもいかない。
というわけでスルーした。

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行場旅館の右横をすり抜けるようにして進むとすぐに右上に覚明社が現れる。

そう、この黒沢口は、尾張の覚明行者(かくめいぎょうじゃ)によって開かれた登山道なのだ。故に彼に縁(ゆかり)のあるものがこうして次々に登場する。

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ほらまた登場した。

覚明社に続いて注連縄(しめなわ)の張られた沢といおうか、小さな谷が現れる。
こここそが覚明行者の行場だったと言われている場所だそうだ。

というわけで、この黒沢口は覚明行者だらけなのである。

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覚明行者の行場跡を過ぎると登り一辺倒になる。
しかもず~っと壊れかかった木段の続く道。
まるで丹沢のバカ尾根(大倉尾根)そっくりだ。

山道が好きでも階段登りが好きなハイカーってきっといないに違いない。私だってこういう道は苦手だ。

ただ侵食裸地化の進んだバカ尾根と違ってこちらは周囲にこうして緑がある分救われる。
緑ってやっぱり嬉しい。

それに、一歩歩くごとに私の体の中にある毒素が薄まっていく感じがしていた。
デトックスというのか、ヒーリングというのか、山歩きには絶対にそのような効果があると私は信じて疑わない。

● 秘儀・絶対に疲れない山登り法

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それにしてもひたすら木段路が続く。段々石(岩)が混ざってきてなおさら歩きにくくなってきた。

さて、山登りが嫌いな人に「何で嫌いなの?」と問えば、十人が十人こう答えるだろう。

「だって疲れるから」

ところがここに「絶対に疲れない山登り法」がある。今年の7月にNHKの「ためしてガッテン」で紹介されていたものだ。

何しろその「ガッテン流・山登り法」を用いれば、登る前より登った後の方が疲労度が減少することすらあるというのだから驚きだ。

どういうことかというと、人の筋肉には速筋と遅筋の2つがある。
速筋は瞬発力はあるけれど持続力がない。遅筋は逆に瞬発力はないけれど持続力がある。
いわば速筋は100mを全力疾走するときに使う筋肉で、遅筋は長距離をのんびりと歩くときに使う筋肉だ。

で、このうち速筋を使うから乳酸値が上がってしまって疲れるのだ。逆に遅筋だけを使っていれば人はほとんど疲れない。

従って「絶対に疲れない山登り法」とは、「速筋を使わずに遅筋だけを使うようにゆっくり歩くこと」だ。

「なあんだ、そんなことか」

と、思うかもしれない。でも事実たったこれだけのことなのだ。

それでも人は(特に初心者は)ついついスピードを上げて歩いてしまう。で、いつの間にか速筋を使ってしまい、バテる・・・。

そこでここからが「ガッテン流・疲れない山登り法」の真骨頂。
そうさせないための秘策がここにある。

それは、「演歌を歌いながら登る」というものだ。

何故演歌なのかというと、演歌は一般的にテンポが遅いからだ。その遅い演歌のテンポに合わせるようにのんびりと登れ、というわけ。
それも頭の中で歌っていても駄目。ちゃんと声に出して歌う。

歌いながら息が上がらないくらいのペースで歩くと、自然と速筋をほとんど使わない、遅筋だけを使った歩き方ができる。これこそが「ガッテン流・絶対に疲れない山登り法」なのだ。

私は数多くのカラオケレパートリー(?)の中から、このときは「氷雨(ひさめ)」を選択。流石に恥ずかしいんで小さくつぶやくように歌いながら登っていった。
「ちょっと山の風情には合わない曲だな」と思いながら・・・。

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私が登っている道は、御嶽山への登山道であるだけでなく、御嶽神社奥社への参道でもある。だから案外多くの人とすれ違う。

山ですれ違うときには「こんにちは」と挨拶を交わすのがルールだ。
面倒臭いとついつい交わさずにすれ違ってしまうこともあるのだが(そうすると向うからも挨拶がなかったりする)、この日の私は積極的に挨拶をしていた。

いかにもハイカーって感じの人たちとも、家族連れって感じの人たちとも、子供たちとも、本当に気持ちよく挨拶を交わしていた。
ひょっとしたら、電車の中であまりにも長い時間会話をしてなかったことが影響していたのかもしれない。

いずれにしても会話が弾んでいたということは、乗っていたということだ。
そして乗っていたということは、まだまだ元気だった証拠でもある。

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いくら「ガッテン流山登り法」でのんびり歩いているつもりでも、木段路というのはどうしても体(心臓)にこたえるもの。

12時45分に小休憩したときには、心臓がかなりバクバク言っていた。
まだペースが早いんだ。

ここでは八王子のコンビニで買った「アップル・スティックパイ」を、紅茶花伝ロイヤルレモネードティーと共に食べた。
こうして小休憩の際に行動食を食べるのが山の楽しみの一つになっている。

うまい!
何だか本日初めて食欲を感じた気がした。

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1時15分、「味自慢 うどん・そば」という大きな幟(のぼり)が左手に現れたかと思ったら、正面に建物が見えてきた。

どうやらやっと8合目の女人堂に到着したようだ。
そして御嶽山がその本性を現すのはここから先だった・・・。

by JunMorosawA | 2010-09-14 08:41 | 低山歩き | Comments(0)


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