2009年 10月 02日
倉岳山で出合った花
私はこの夏、富士山に登ってきた。8月28日からのブログに書いてありますから興味のある方はどうぞご覧になってください。

ま、それはいいとして、そのあとどうもぱっとしない。気力・体力共に充実した感じがなく、故にあまり山にも行かずに安易な映画コースばかり取っていた(天候とか、いろいろな用事とかの理由もあったけれども)。

9月の最後の休みのときも同じだった。天気予報もあまりよくなかったし、登山欲がちっとも湧いてこなかった。

しかしあまりうだうだしていては体が鈍(なま)ってしまう。天気が悪いのなら逆に花の撮影目的で出かければいいではないか。直射日光がないのは多くの野の花の撮影にはむしろ好都合なのだから・・・。

というわけで朝5時40分頃 LUMIX DMC-G1 片手に家を出た私であった。はたしてどんな出会いがあるかな?




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8時15分、中央本線の梁川(やながわ)駅を降りた私は倉岳山目指して歩き始めた。

しかしご覧のとおり山はすっぽりとガスに包まれていた。どうやら展望はまるで期待できそうにない。
でもいいではないか。逆に野の花の撮影には最適な天候なのだから・・・。

登山口までは緩やかなスロープが続く。もうすぐ10月だというのに、風がなかったせいか結構蒸していて暑かった。ひょっとしたら未明にでも雨が降ったのかもしれない。

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8時45分、登山口から登り始める。最初は月夜根沢沿いの道が続く。

月夜根沢沿いの登山道は森の中にあるため暗くてしかもほぼ無風だった。だから普通は沢沿いの道は涼しいはずなのにその正反対でとても蒸し暑く感じられた。

そして小蝿が私の体の周りにまとわりついていて鬱陶(うっとう)しくてたまらなかった。
「ブーン」というその羽音が、まるで耳鳴りのような感じを私に与えていたのだ。

あと、山に入ってからずっと私を悩ませたのが蜘蛛の巣。
今日はまだ誰もこのコースを歩いていない証拠だが、それにしてもひどかった。しょうがなく落ちていた枝を手にして、体の前でぐるぐる回しながら歩いていた。

自然っていうのはそんなに人間にとって好都合なことばかりではない。

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あと、こんなカエルがやたらに現れた。それも握りこぶし大ぐらいありそうな大きなものから、小指の先ほどの小さなものまで、大小さまざまなカエルが、本当にびっくりするほど何匹も現れた。少なくとも30匹以上と出合ってる。

両生類の嫌いな女性なら悲鳴を上げていることだろうが、私にとっても、蛙=雨を連想させるから、あまり気持ちのいいものではなかった。

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そんな中出合ったのがこのキバナアキギリ(黄花秋桐)という野の花。
本州・四国・九州に分布するシソ科の多年草で、どうやらこのような山地の暗い木陰を好む花のようだ。

8~10月、茎の先に花穂(かすい)を作り、段になって長さ2.5~3.5cmの黄色の唇形花(しんけいか)を開く。
また、この写真では少し分かりにくいかもしれないが、葉っぱが矛(ほこ)型をしているのも特徴の一つになっている。

最初はLUMIX DMC-G1の標準ズームを使って安易に手持ちで写していたのだが、途中からちゃんとマクロレンズにすげ替えて、三脚を立てて撮影した。

それでよかった。今見てみると、標準ズームで手持ちで写したやつは全然使えない。一方三脚+マクロレンズの方は惚れ惚れするほどの出来だ。

やはり三脚+マクロレンズの力は偉大だと再確認した。

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一方こちらはカシワバハグマ(柏葉白熊)という野の花。それこそこちらは手持ちで写したせいか、もう一つしゃきっとしてない(縮小してあるから分かりにくいかもしれないけれど)。

こちらもやはり暗い山林中に生えていることが多い野の花で、高さ30~70cmになるキク科の多年草だ。
この「何とかハグマ」という野の花はオクモミジハグマとかキッコウハグマなどいくつかある。葉っぱの形状で判断すると割りと簡単に見分けがつく。
カシワバハグマの場合、その名のとおり、葉の周辺に鋸歯があるあたりがカシワの葉にやや似ている。

ちなみに「ハグマ」は漢字で書くと「白熊」で、カシミールやチベットの高地に棲むウシ科の哺乳類ヤクの尾の毛のことだ。

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山頂はやはり何の展望もなくぱっとしなかったが、山頂から下山するときに出合った緑は、まるで新緑のようですがすがしかった。

そういえば稜線に達してから急に気温が下がり、空気がおいしかったっけ。これを体で感じられただけでも今回の山行の意義があったような気がする。

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下山途中で出合った花がこのシモバシラ(霜柱)。
私は今まで何度かこのシモバシラに出合っている。しかし私が出合ったことのあるシモバシラは真冬のこちらだった。

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そう、この草花、真冬に、冬枯れした草の根元に茎から鰭状に氷が張り出し、このような「氷の彫刻」を作り出すのだ。

こっちは何度も見ているのに、花を見るのは今回が初めでだった。
だから興奮した。この場所には驚くほど沢山のシモバシラが群生していたんだ。

ちなみにシモバシラは関東地方以西、四国、九州の山地の暗い木陰を好むシソ科の多年草。
茎は四角形で硬く、40~70cmにもなる。葉は対生して、短い柄があり、葉身は広い皮針形で8~20cmほどはある。

9月~10月頃、枝の上部の葉の脇に長さ6~9cmの片側にだけ花をつける花穂(かすい)を出し、白い唇形花を多数つける。

上の写真でも分かると思うが、ほとんど水平になった茎から花穂だけが立ち上がった姿はなかなかに独特だ。

ちなみに多年草のことを別名宿根草(しゅっこんそう)という。これは「地上部はその年に枯れるが、地下茎または根が残って、翌年、芽を出す草本」のことだ。
もしシモバシラが宿根草(多年草)でなければこの現象は起こらないわけですね。

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というわけで満足して山を下りた。
辿り着いた鳥沢駅にはご覧の大きなオオケタデの株があり、びっくりした。そういえば地元の東慶寺にも大きな株があったっけ。

秋の花の季節は短い。また何処かに出かけてみたいな・・・。

by JunMorosawA | 2009-10-02 18:44 | 山歩き&花 | Comments(0)


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